間違ってフィッシングメールのリンクをクリックしてしまった。
そんな経験はありませんか?誰にでも起こり得るミスですが、対応を誤ると情報漏洩や金銭被害に発展するおそれがあります。
実際、現在のフィッシングメールは巧妙化しており、見た目は本物そっくり。大企業のロゴや文面を模倣し、日常業務の中で見落としてしまうケースも少なくありません。中小企業の現場でも、情シス担当者が気づかないうちに従業員の端末が感染していたという事例が後を絶ちません。
そこで本記事では、「リンクを開いただけ」「認証情報を入力してしまった」「添付ファイルを開いた」など、取ってしまった行動ごとに想定されるリスクと具体的な対処法を詳しく解説します。さらに、再発防止のための社内ルールやツール導入のポイントも紹介しています。
ぜひ、この記事を参考に、いざというときの初動対応を確認しておきましょう。
フィッシングメールをクリックしてしまったら。まずは状況の切り分け
ついうっかり、届いたメールのリンクを開いてしまった。あとになってフィッシングだったと気づいたとき、頭が真っ白になる方も多いのではないでしょうか。ですが、慌てる前に冷静な状況確認が第一です。
実際の被害の有無は、リンクを開いただけか、情報を入力したか、添付ファイルを開いたかなど、行動の内容によって大きく異なります。ここでは、クリック後の行動ごとにリスクの違いと取るべき初期対応を整理します。
リンクを開いただけ
リンクをクリックしただけであれば、被害につながる可能性は比較的低いと言えます。フィッシングメールの多くは、偽サイトへ誘導することが主な目的であり、リンク先を開いただけではデータを抜かれることは基本的にありません。
ただし、悪質なサイトの中には自動で不正なスクリプトを実行し、ブラウザの脆弱性を突いてくるケースも稀に存在します。万一、怪しいページが表示された場合はすぐに閉じ、ブラウザの履歴やキャッシュを削除しておくと安心です。また、セキュリティソフトによるスキャンも念のため実行しておきましょう。
偽サイトで認証情報を入力した
ユーザー名やパスワードを入力してしまった場合、被害リスクは一気に高まります。特にメールアカウントやクラウドストレージ、ECサイトのログイン情報などを入力していた場合、それらのアカウントが第三者に乗っ取られる危険性があります。
このような場合は、即座に該当アカウントのパスワードを変更してください。
可能であれば、二要素認証(SMS認証や認証アプリ)も設定することで、さらなる被害拡大を防げます。また、すでにログインされた形跡がないか、ログイン履歴や端末情報の確認もあわせて行いましょう。
添付ファイルを開いた/マクロを実行した
メールに添付されたファイルを開いてしまった場合、特にExcelやWordのマクロを有効化してしまったケースでは、マルウェア感染のリスクが高くなります。
実行されたファイルがウイルスであれば、端末のデータが抜き取られたり、内部ネットワークへ侵入されたりする恐れがあります。この場合、最優先でやるべきことは端末のネットワークからの切断です。
Wi-Fiをオフにする、LANケーブルを抜くなどして通信を遮断し、社内ネットワークへの影響を防ぎましょう。そのうえで、セキュリティソフトによるフルスキャンを実施し、必要に応じて専門業者に調査を依頼してください。
個人情報やカード番号を送信した
氏名、住所、電話番号、クレジットカード情報などを入力・送信してしまった場合、金銭的被害に直結する深刻な状況です。この段階では、情報漏洩はすでに起きていると考え、すぐにカード会社や金融機関に連絡を取りましょう。
カードの場合は利用停止・再発行の手続きを行い、不正利用がないかの確認も依頼してください。口座情報を入力していた場合は、念のため取引明細を確認し、不審な引き出しがあれば即時対応が必要です。
いずれの場合も、証拠としてメールの内容や画面キャプチャを保存しておくことが、後々の対応に役立ちます。
フィッシングメールをクリックしてしまったら|直後にやるべきアクション
状況の切り分けができたら、次は具体的なアクションに移る必要があります。被害の有無にかかわらず、初動対応が早ければ早いほど、被害の拡大や深刻化を防げます。
ネットワークの遮断やパスワードの変更、情報システム部門への報告などは、できるだけ迅速に行うことが重要です。ここでは、企業利用と個人利用のケースに分けて、実践すべき対応策を紹介します。
ネットワーク遮断(Wi-Fiオフ、LANケーブル抜く)
まず最優先すべきは、ネットワークからの切断です。マルウェア感染や不正な通信が発生している場合、ネットワークを遮断することで被害の拡大を防げます。Wi-Fiをオフにする、LANケーブルを抜くなどの方法で端末の通信を遮断しましょう。
次に、もし認証情報を入力していた場合は、該当するサービスのパスワードをすぐに変更してください。このとき、二要素認証の設定が可能であれば、同時に有効化しておくことで、なりすましログインの防止につながります。
また、セキュリティソフトを使ってフルスキャンを実施しましょう。マルウェアが検出されなかったとしても、ログや履歴などの証拠は念のため保存しておきます。特に業務用端末の場合は、自分で対応を完結させるのではなく、必ず情報システム部門に報告してください。
メール本文やクリックしたURLは削除せず、調査資料として提出できるように保管しておくとスムーズです。
個人利用の場合の対応
個人で使用している端末で被害が疑われる場合は、まずクレジットカードや銀行口座など、金銭に関わる情報の流出を想定した対応が必要です。
クレジットカード情報を送信してしまった場合は、カード会社にすぐ連絡して利用停止と再発行の手続きを行いましょう。すでに不正利用されていないか、明細を確認することも忘れずに。
ネットバンキングを利用している場合は、利用している銀行に連絡し、口座保護の手続き(パスワード変更、取引一時停止など)を依頼してください。
メールアカウントが関係する場合は、ログインパスワードの変更に加え、リカバリ用のメールアドレスや電話番号などの情報が正しく設定されているか確認し、不正アクセスによる設定変更が行われていないかを点検しておくと安心です。
フィッシングメールをクリックしてしまったら|感染が疑われる場合の追加対応
クリック後の挙動に不審な点があったり、セキュリティソフトで何かしらの検出があった場合、マルウェアやスパイウェアへの感染が疑われます。このようなケースでは、一般的な初動対応に加えて、より踏み込んだ追加対応が求められます。
見えない脅威をそのまま放置してしまうと、情報漏洩やランサムウェア被害など、深刻な事態に発展しかねません。
端末を初期化、または専門業者に診断を依頼
まず、確実な対処として端末の初期化が挙げられます。ウイルスやマルウェアはセキュリティソフトで検出されない場合もあるため、安全性を徹底するなら、端末を工場出荷状態に戻すことが最も確実です。
ただし、業務用端末の場合は自分の判断で初期化せず、必ず情報システム部門や専門業者に相談してください。
専門業者によるマルウェア診断サービスも有効です。感染経路や影響範囲を明らかにしたうえで、再発防止策まで提案してもらえるため、被害の全体像を把握したいときには有力な選択肢です。
別デバイスから重要パスワードを順次変更
感染が疑われる端末からの操作は、情報漏洩リスクを高めます。そのため、パスワードの変更など重要な操作は、安全が確認された別のデバイスから行うのが原則です。
メールアカウント、ネットバンキング、クラウドストレージ、SNS、業務用システムなど、重要度の高いアカウントから順にパスワードを変更しましょう。加えて、二要素認証の設定や、過去のログイン履歴の確認も実施することで、潜在的な侵害を早期に察知できます。
アカウント乗っ取りがないかログイン履歴を確認
最後に忘れてはならないのが、各アカウントのログイン履歴の確認です。たとえばGmailやMicrosoft 365などのサービスでは、ログインされた日時やIPアドレス、使用された端末などの履歴が確認できます。
見覚えのない地域や時間帯のアクセスがあった場合は、すでにアカウントが乗っ取られている可能性があります。すぐにパスワードを変更し、サービス提供元に不正アクセスの報告を行いましょう。
フィッシングメールのクリック再発を防ぐポイント
一度被害に遭ったあと、「次こそは防ぎたい」と思う方も多いはずです。とはいえ、フィッシングメールの手口は日々巧妙化しており、誰もがうっかり騙される可能性があります。
再発防止のためには、技術的な対策だけでなく、メールを見る際の習慣や社内の意識改革も欠かせません。ここでは、今すぐ実行できる予防策を4つ紹介します。
メールフィルタ・セキュリティゲートウェイの導入
フィッシングメールを未然にブロックするためには、メールフィルタリング機能を持つセキュリティサービスの導入が有効です。セキュリティゲートウェイを経由させることで、スパム判定や送信元の信頼性チェック、添付ファイルのスキャンなどが自動で行われます。
中小企業の場合でも、クラウド型のサービスを使えば比較的低コストで導入可能です。被害のリスクや復旧コストを考えると、導入による効果は高いと言えるでしょう。
ドメイン確認習慣(https:// の有無、一文字違いに注意)
フィッシングメールのリンク先は、正規サイトとそっくりなURLを装っています。たとえば、アルファベットが1文字違う、.comではなく.coなど、細かな差に気づきにくいケースもあります。
URLをクリックする前に、ブラウザ上のアドレスバーを必ず確認する習慣をつけましょう。また、サイトがhttpsで始まっているか(鍵マークが表示されているか)も信頼性の判断材料になります。
添付ファイル拡張子のチェック
不正な添付ファイルには、WordやExcelを装った「.exe」や「.bat」などの実行ファイルが紛れ込んでいることがあります。一見すると「請求書.xls」といった無害な名前に見えても、実際には拡張子が偽装されている場合があります。
受信した添付ファイルの拡張子が不自然であったり、送信者に心当たりがなかったりする場合は、絶対に開かないようにしましょう。メールではなく、社内チャットや電話など別の手段で送信元に確認を取ることも有効です。
業務では「疑わしいメールを報告する文化」を徹底
最終的にフィッシングを防ぐのは人の目です。そのためには、社員が「これ怪しいかも」と思ったときに、気軽に報告できる環境づくりが欠かせません。
疑わしいメールはそのまま削除せず、情報システム部門に報告・提出するルールを明文化するだけでも、社内の防御力は大きく高まります。担当者に集中させず、全社的なセキュリティ意識の底上げを図ることが、長期的には最も効果的な対策です。
フィッシングメールをクリックしてしまったら落ち着いて対応しよう
フィッシングメールにうっかり反応してしまうことは、誰にでも起こり得ることです。手口は日々巧妙化しており、一見しても本物と見分けがつかないように仕掛けられている場合も少なくありません。
大切なのは、「クリックしてしまった=もう手遅れ」と思い込まず、状況を冷静に判断し、適切な対応を取ることです。
今回紹介したように、リンクを開いただけなのか、パスワードや個人情報を入力してしまったのか、それとも添付ファイルを開いたのかによって、リスクの大きさや取るべき対応が異なります。
まずはネットワークを遮断し、パスワード変更やセキュリティスキャン、必要に応じた報告や相談を行うことが基本です。
さらに注意したいのが、漏洩した認証情報がダークウェブに出回ってしまうリスクです。一度盗まれたパスワードや個人情報は、犯罪グループの間で売買され、あなたの知らないところで被害が進行している可能性もあります。
そうした背景をふまえ、弊社ではダークウェブ上での情報流出を監視する無料モニタリングサービスをご提供しています。メールアドレスやドメインを登録するだけで、流出が検知された際にアラートでお知らせします。
情報漏洩の「見えない不安」を可視化し、早期対応を可能にするためにも、ぜひこの機会にご活用ください。




