Webサイト改ざんとは?種類・手口・発見方法・初動対応と防止策を優しく解説

「突然、自社のWebサイトが書き換えられていた」「気づかないうちに顧客情報が流出していた」

そんな被害が今、全国の企業で増えています。Webサイト改ざんは、大企業だけでなく、セキュリティが手薄な中小企業こそ狙われやすい現実があります。見た目に異変がなくても、裏でスパムページが生成されたり、カード情報が盗まれたりと、深刻な被害が水面下で進行するケースも少なくありません。

では、なぜ改ざんは起きるのでしょうか?どのような兆候で発見でき、どのような対策が必要なのでしょうか?

本記事では、Webサイト改ざんの種類や手口、被害事例、そして初動対応から再発防止まで、実務に役立つ知識をわかりやすく解説します。

Webサイト改ざんとは

Webサイト改ざんとは、第三者が不正にWebサイトへアクセスし、内容を意図的に変更・操作するサイバー攻撃の一種です。

改ざんの目的はさまざまで、単なる愉快犯的ないたずらから、個人情報やクレジットカード情報の窃取、マルウェアの拡散、検索順位の乗っ取り(SEOスパム)まで多岐にわたります。

改ざんされたサイトを訪れたユーザーが被害を受けるケースも少なくなく、結果として企業の信頼性やブランド価値が大きく損なわれるリスクがあります。中小企業のサイトは「狙われにくい」と油断しがちですが、セキュリティ体制が手薄なことで標的になるケースが増加中です。

Webサイトは企業にとって、24時間365日営業してくれる重要な資産です。改ざんによる損失は一時的なものにとどまらず、顧客離れや取引停止などの深刻な影響につながるおそれがあります。

Webサイト改ざんの種類

Webサイト改ざんと一口に言っても、手口や目的によってさまざまなタイプがあります。ここでは代表的な5つの改ざん手法について見ていきましょう。

見た目の書き換え

もっとも直感的に気づきやすいのが、見た目の書き換えによる改ざんです。

トップページや会社概要ページなどが、まるで落書きのような画像やメッセージに差し替えられてしまうケースが典型です。企業ロゴやキャッチコピーが悪意ある文言に置き換えられていたり、政治的・宗教的な主張が大きく掲載されることもあります。

このタイプは愉快犯やクラッカーによる犯行が多く、犯人の存在を誇示するための行動であることがほとんどです。顧客や取引先が改ざん後のページを目にすると、企業の管理体制に対する信頼を大きく損ねる恐れがあります。

SEOスパム

検索流入を目的としたSEOスパムも近年増加傾向にあります。攻撃者は正規のサイトに不正アクセスし、内部に大量のスパムページを生成。これらのページは薬物・アダルト・ギャンブルなどの怪しい内容で構成され、外部サイトへのリンクが埋め込まれています。

一見するとサイトには変化がなく、裏側だけが乗っ取られているため発見が遅れるのが特徴です。検索エンジンの評価が下がったり、ブラックリストに登録されたりと、SEO的な損害が甚大になる可能性があります。

カード情報抜き取り

ECサイトや予約サイトなどで大きな問題となるのが、カード情報抜き取り型の改ざんです。正規の決済フォームに見せかけて、内部に悪意あるスクリプトを埋め込むことで、顧客のクレジットカード情報を盗み出します。

被害者は正規サイトで購入手続きをしているつもりなので、攻撃に気づくのが難しいのが厄介な点です。情報が漏えいした場合、企業は顧客対応や謝罪、損害補償など莫大な負担を負うことになります。

マルウェア配布

サイト訪問者の端末を感染させるマルウェア配布型の改ざんも深刻です。攻撃者はWebページの一部にマルウェアを仕込んだコードを埋め込み、ユーザーがアクセスした瞬間にウイルスを自動的にダウンロード・実行させます。

この手法はドライブバイダウンロードと呼ばれ、ユーザーがファイルを開かなくても感染するため厄介です。顧客や取引先を巻き込む被害につながるため、法的責任に問われる可能性もあります。

なりすまし

一見すると正規ページと見分けがつかない「なりすまし」も巧妙です。HTMLやCSSを使って本物そっくりのページを表示しつつ、裏では全く異なる情報を送信・受信しています。たとえば、ログイン情報や個人情報が盗まれたり、偽の情報に誘導されたりします。

この手法はフィッシングと組み合わされることも多く、社内の従業員すら騙されるリスクがあります。セキュリティ意識が高い企業であっても油断できない、高度な改ざんタイプのひとつといえるでしょう。

Webサイト改ざんの具体的な手口

Webサイトの改ざんは、悪意ある人物が無作為に攻撃してくるのではなく、システムや運用上のスキを突く形で巧妙に行われます。ここでは、企業サイトにおいて特に多く見られる代表的な手口を解説します。

これらの脆弱性を放置していると、知らない間に改ざんされ、深刻な被害を招くおそれがあります。

CMSやプラグインの脆弱性

WordPressやDrupalといったCMS(コンテンツ管理システム)は便利で普及率も高いため、攻撃者にとって格好の標的となります。

注意が必要なのが、テーマやプラグインに潜む脆弱性です。攻撃者はインターネット上に存在するWebサイトを機械的にスキャンし、既知の脆弱性を持つバージョンを見つけ次第、自動で不正コードを仕込むといった攻撃を行います。

開発元が公開したセキュリティ修正を適用せず放置していると、その古いバージョンを狙った自動攻撃に晒されてしまうわけです。

単純なパスワード設定

管理画面やFTPへのログインに「password」「admin123」といった推測されやすいパスワードを使っているケースは、未だに少なくありません。

また、複数サービスで同じパスワードを使い回していると、他サービスから漏れた情報を使って不正ログインされるパスワードリスト型攻撃にも弱くなります。

攻撃者は自動ツールで無数のID・パスワードを試すブルートフォース攻撃を仕掛けてきます。簡易なパスワード設定は、まるで鍵をかけずにオフィスを開放しているようなものです。

外部タグや広告スクリプトの汚染

自社サイトに埋め込んでいるアクセス解析タグや広告配信スクリプトなど、外部提供されたコードが改ざん経由で汚染されるケースもあります。

たとえば、提携先の広告ネットワークが不正アクセスを受け、改ざんされたスクリプトがあなたのサイトを通じて実行されるといった被害です。この手口はサプライチェーン攻撃にも分類され、外部に依存した仕組みが多いほどリスクが高まります。

自社が直接侵入されたわけではなくても、被害を受けるリスクがある点が厄介です。

サーバやソフトのアップデート不足

Webサーバ本体やPHP・MySQLといったミドルウェアのバージョンが古く、脆弱性が残ったままになっていると、それを突かれて侵入されることがあります。OSレベルでのアップデート不足も含め、システム全体を常に最新の状態に保たなければいけません。

中小企業では、外部ベンダー任せで保守状況を把握していないケースも見られますが、攻撃者はそのスキを逃しません。

Webサイト改ざんの発見ポイント

Webサイト改ざんは、攻撃者が目立つ痕跡を残す場合もあれば、巧妙に仕組まれて長期間気づかれない場合もあります。中小企業の場合、専任のセキュリティ担当者がいないために発見が遅れ、被害が拡大してしまうケースが少なくありません。

ここでは、実際にチェックすべき代表的な兆候を解説します。

表面的な異変に注目する

もっとも気づきやすいのは、Webサイトの見た目が突然変わっているケースです。

トップページに身に覚えのない文字や画像が表示されていたり、リンク先が不審な外部ページに飛ばされたりしていれば、改ざんの可能性が高いといえます。取引先や顧客から「サイトがおかしい」と指摘されて気づくことも珍しくありません。

裏側の異常にも注意を払う

見た目に異常がなくても、内部で不正なファイルやスクリプトが動作していることがあります。

検索エンジンにインデックスされるページ数が急に増えたり、自社とは関係のない外部サイトへのリンクが多数存在したりする場合は、SEOスパム型の改ざんが疑われます。検索順位が急落する、スパム扱いされるといった変化も見逃してはいけません。

サーバやログの兆候を確認する

アクセスログやサーバの動作状況も重要な手がかりです。

深夜に大量の不正アクセスが集中している、サーバ負荷が異常に高くなっている、管理者ログインに見覚えのないIPが記録されている。

こうした兆候は、すでに侵入を許している可能性を示します。ウイルス警告が表示されたという顧客からの通報も、重要なシグナルです。

Webサイト改ざんを発見したときの初動対応

万が一、Webサイトの改ざんが発覚した場合、被害を最小限に食い止めるためには迅速かつ正確な初動対応が不可欠です。パニックに陥って慌てて対処すると、かえって被害範囲を広げたり、証拠を消してしまったりするリスクがあります。

ここでは、現場で実践すべき初期対応の手順を解説します。

サイトを止める

まず行うべきは、被害の拡大を防ぐためにWebサイトの公開を一時停止することです。サイト訪問者がマルウェアに感染するリスクがある場合やクレジットカード情報などの漏えいが疑われる場合は即時対応をしましょう。

公開を止めることで、外部への感染拡大や検索エンジンからの評価低下、顧客への不信感拡大を防げます。サーバ管理画面やCMSのメンテナンスモード機能などを活用し、速やかにアクセス遮断を行いましょう。

ログを保存する

次に重要なのが、アクセスログやエラーログ、管理画面の操作履歴など、改ざんの痕跡を示す証拠データの保存です。後から原因分析や法的対応を行う際、これらの記録が欠かせません。

そのままシステムを操作してしまうと、証拠が上書きされたり消えたりする可能性があります。可能であれば、現時点のファイル構成やログをまるごとバックアップし、安全な外部ストレージに保存してください。

パスワードを全て変更

原因の特定が済んでいなくても、ログイン系のパスワードはすべて変更しておくべきです。改ざんに使用された可能性がある管理者アカウントやFTPアカウント、データベースの接続情報などをすべて見直し、安全な文字列に更新します。

また、他のサービスと同一パスワードを使い回している場合は、それらも合わせて変更し、今後は使い回しを避けるルールづくりをしましょう。

サーバ管理会社に連絡

自社でサーバを管理していない場合は、速やかにサーバ提供元やホスティング業者に連絡し、状況の共有と技術的な支援を依頼しましょう。多くの業者では、緊急対応用のサポート窓口を設けています。

契約プランによってはバックアップの取得や復旧作業まで請け負ってくれる場合もあるため、手を止めずに専門家の支援を仰ぐことで復旧がスムーズに進みます。

怪しいファイルを洗い出す

最後に、改ざんに使われた不正なファイルやスクリプトを特定・除去します。身に覚えのないファイル、更新日時が直近のファイル、文字列が暗号化されたようなPHPファイルなどが対象です。

ただし、すべての改ざん箇所を自力で見つけるのは困難です。Webセキュリティの専門業者に調査を依頼することも検討し、根本原因の除去までを徹底してください。中途半端な復旧では、すぐに再感染するリスクがあります。

Webサイト改ざんの対策

攻撃者はセキュリティ体制の甘い中小企業を狙って、日々自動化された攻撃を繰り返しています。ここでは、今すぐに実施すべき基本的かつ実効性のある対策を紹介します。

定期的なアップデート

もっとも基本でありながら、最も重要な対策がシステムの定期的なアップデートです。

CMS本体やプラグイン、サーバソフトウェア、PHP、OSなどは、脆弱性が発見されるたびに修正パッチが提供されます。更新を怠れば、既知の穴を放置したまま公開し続けることになり、攻撃対象となるリスクが高まります。

アップデート作業は、月に1回などのルーティンに組み込むとともに、緊急の脆弱性情報には迅速に対応できる体制を整えておきましょう。

多要素認証の導入

管理画面やサーバへのログインに、ID・パスワードだけでなく、多要素認証(MFA)を追加すれば、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。

たとえば、スマートフォンによるワンタイムコード認証やセキュリティキーを活用すれば、万が一パスワードが漏洩しても、簡単には突破されません。

無料で利用できる多要素認証ツールが多く存在するため、導入ハードルはそれほど高くありません。まずは管理者アカウントから順次適用していくのが現実的です。

WAFの導入

WAF(Web Application Firewall)は、Webサイトへの不正な通信を検知し、自動的に遮断する防御ソフトウェアです。改ざんに多く使われるSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの攻撃を未然にブロックできます。

クラウド型WAFサービスであれば、サーバの設定を大きく変えずに導入できる点も魅力です。中小規模サイトでも数千円〜のコストで利用可能なプランがあり、効果と費用のバランスを取りやすいセキュリティ対策のひとつでしょう。

最小権限の原則

社内でWebサイトに関わるアカウントに対しては、「必要最低限の権限だけを付与する」という原則を守ることが重要です。

たとえば、記事を投稿するだけの担当者に、管理者権限を与える必要はないでしょう。万が一そのアカウントが乗っ取られた場合、権限が大きければ大きいほど被害も大きくなります。

アカウントの棚卸しや権限の見直しを定期的に実施することが、リスクの分散と回避につながります。

定期的にバックアップを取る

改ざんされても、すぐにバックアップから復旧できれば被害を最小限に抑えられます。理想は1日1回の自動バックアップですが、最低でも週1回は取得しておきたいところです。

サーバ内部だけでなく、外部ストレージやクラウド環境に保存することで、ランサムウェアなどによる同時破壊リスクも回避できます。

不要な機能やプラグインの削除

使っていない機能や放置されたプラグイン・テーマは、サイバー攻撃の入り口になり得ます。特に更新が止まっているプラグインは脆弱性の温床となるため、利用していないものは積極的に削除しましょう。

CMSやサーバの軽量化にもつながり、パフォーマンス改善や運用負荷の軽減にもつながります。セキュリティの面でも運用の面でも、定期的な断捨離は有効です。

Webサイト改ざんの被害事例

2023年2月、娯楽施設を運営するラウンドワンは、公式Webサイトが不正アクセスを受け、改ざんされたことを発表しました。店舗案内ページの中にある「料金表のリンク」をクリックすると、外部の別サイトに転送される状態になっていたのです。

特に問題となったのは、そのリンク先が成人向けコンテンツを含む不適切なWebページであった点です。SNS上では、アクセスした利用者から「Webサイトが乗っ取られているのでは?」という声が相次ぎ、注意喚起の投稿が複数確認されました。

ラウンドワンはこの指摘を受け、問題のページを即座に削除し、サイトを復旧。個人情報の漏えいは確認されていないとしています。

この事例から見えてくるのは、改ざんが一見小さな異常でも、顧客体験やブランド価値に大きな影響を与えるという現実です。リンクの遷移先が不適切であったことで、企業の信頼性が損なわれかねないリスクに直面しました。

Webサイト改ざんに関するよくある質問

Webサイトの改ざんに関しては、共通の疑問や不安の声が多く寄せられます。ここでは、特に頻出する質問に対して簡潔にお答えします。

Webサイト改ざんとは何ですか?

第三者によってWebサイトの内容が不正に変更・書き換えられるサイバー攻撃のことです。表示の変化だけでなく、情報の抜き取りやウイルス配布など、さまざまな被害につながります。

悪意のあるWebサイトとはどんなものですか?

マルウェアを仕込んだり、個人情報を盗み取ったりする目的で意図的に設計されたサイトを指します。改ざんされた正規サイトが、結果的に悪意あるWebサイトへと変質することもあります。

改ざんされたWebページは何を脅かす?

顧客の信頼、ブランドイメージ、売上、さらには法的責任にまで影響が及びます。とくに個人情報の漏えいは、深刻な社会的・経済的損失を引き起こす可能性があります。

Webサイトが改ざんされたかどうかを迅速に確認する方法は?

普段と異なる表示やURLの変化、不審なファイルの出現、検索結果画面での見え方の変化などを確認します。また、専門の改ざん検知ツールを導入すれば早期発見が可能です。

Webサイト改ざんされた場合の優先対応は?

まずはWebサイトの公開を停止し、アクセスログを保存。次に、パスワード変更とサーバ管理会社への連絡を行い、改ざん箇所の特定と除去に移ります。

WAFやIPSは改ざん防止にどの程度効果があるか?

WAF(Webアプリケーションファイアウォール)やIPS(侵入防止システム)は、改ざんの原因となる不正アクセスを未然にブロックする有効な防御策です。完全防御は難しいものの、導入することで多くの攻撃を遮断できます。

改ざん検知ツールを選ぶ際の重要な評価基準は何?

検知のスピード、異常を通知する仕組み、対象ファイルの網羅性、過去の改ざん履歴の追跡機能、操作のしやすさ、そしてサポート体制などが評価ポイントです。無料・有料を問わず、信頼できる実績があるサービスを選びましょう。

改ざんリスクを正しく理解し、実効性のある対策を今すぐ導入しよう

Webサイトの改ざんは、中小企業にも十分に起こり得るリスクです。特に中小企業はセキュリティ対策が不十分と見なされやすく、無差別な攻撃の標的となる傾向があります。被害に気づかないまま顧客情報が流出したり、マルウェアが拡散したりすれば、企業の信頼性や事業継続に深刻な影響を及ぼしかねません。

だからこそ、自社のWebサイトが改ざんされることを前提に備える姿勢が求められます。CMSやプラグインの更新、多要素認証の導入、WAFの設置、最小権限の設定、定期的なバックアップなど、基本的な対策を一つひとつ確実に実施しましょう。

近年では、ダークウェブ監視の重要性も増しています。攻撃者が不正に入手したログイン情報やクレジットカード番号をダークウェブ上で売買するケースが多く、改ざんによる被害の範囲や二次被害の兆候を把握するうえで、監視サービスの活用は有効です。

セキュリティ対策は、顧客と事業を守るための投資です。まずは、自社で実行可能な対策から着手すること。それが、最も実効性の高い第一歩となります。

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